「子どもの高校受験、親ができることって何だろう?」
教育に関してド素人の父親が、中学生の息子にあれやこれや奮闘した中学3年間の記録です。
勉強はできないよりできたほうがいい
皆さん、中学生といえば何を連想しますか?
わたしはすぐに「受験」を思い浮かべます。
15歳の子どもが初めて挑む「高校受験」。
高校受験とは将来どのような道に進むのかを考え、それを明確にするためのもの。
わたしはそういう位置づけでとらえていた。
小学校を卒業する時点で、将来やりたいことを明確にしている子は少ないだろう。
わが息子もそうだった。
進学するのか、それとも就職するのかは入った高校で決まってしまう。
わたし自身の考えは進学・就職どちらでも良い。本人の意思を尊重するスタイル。
しかし、日々学校生活を過ごしてる中で、何かしらの大切なものと出会い
「将来、この職業に就きたい!」
と思ったとき勉強がからっきしだと、そんな夢もあきらめざる得ないことも。
大卒でなければ就けない仕事、入社できない企業もたくさんある。
その時に多くの選択肢を得るために
「勉強はできないより、できたほうがイイ」
それがわたしの考えだった。
息子は家庭学習をまったくしない、宿題を適当に終わらす程度。
普段の生活を見ていて中学入学と同時に塾には行かそうと決めていた。
どの塾がいいのか?
息子が小学6年生になった頃から、わたしの頭の中で「高校受験」への準備は早めにやろうと決めていた。
ウチの息子は小学校6年生の1年間だけ、全国的にも有名な某塾に通っていた。
仲の良い友達が行ってたので半分遊び感覚で「行ってみな」ってな感じで。
高校受験を意識すると、その塾は小学校までと決めた。
地方に住んでいると、受験に対しどこかのんびりしているような感覚は否めない。
よその家に目を向けてみると
「中学入学後、しばらく様子を見てから塾に通わそう」
そんなご家庭が多い。
実際に聞いたわけではないが、そんな風に見受けられた。
しかし中学3年間は部活に勉強にいそがしく、あれよあれよという間に過ぎ去ってしまう。
準備は早いに越したことはない。
仕事の忙しさにかまけて何かと後回しにするわたしだが、何事も「手遅れ」になるのが一番良くないと思っていた。
とくに子供に関しては、できるだけフットワーク軽く動くように心がけていた。
時間をかけてリサーチ
わたしが住んでいる街は人口10万人足らずの田舎町。
テレビCMが流れている大手の塾もあるが、人気なのは地元出身の講師が開いている塾。
地元に根付いている塾ってやつ。
どの塾も生徒数は1学年20人前後の集団授業スタイル。
いずれの講師も偏差値の高い有名大学を卒業後、有名進学塾で数年間働きノウハウを取得。満を持して地元に戻り開塾!という流れ。
人気の理由は月謝が大手よりも安く実績もある。
子ども一人ひとりと向き合い、血の通った関係性を構築しないと小さな街で塾を経営するなんて無理。
クチコミが命といってもいいだろう。
毎年1月頃になると、新聞には塾の新入生募集のチラシが折り込まれてくる。
チラシには体験入学の案内・説明会・授業カリキュラムなど記載されている。
そのチラシを見て慌ててアクションを起こせればいいが、多くの親御さんは頭ではわかっちゃいるが、どうしても後回しにしがち…。
人気のある塾はすぐに定員に達してしまい、いざ入りたいと思ったときには入れないという場合もある。
そんな事にならないためにも、チラシが折り込まれる数ヶ月前からリサーチしておきたい。
チラシが折り込まれる前に見ておきたいのが塾のホームページやブログ。
大手とは違い、個人がやっているのでホームページは手作り感があり熱量も伝わってくる。
特にブログは講師の考えや子どもとのスタンスが明確にわかる。
ホームページは業者にお任せという場合が多く、どこの塾も似たようなフレーズで溢れているが
その点ブログは講師の思い子どもや保護者への鮮度あるメッセージ。
上辺だけのものなのか、本心なのかも不思議なもので文章から講師の人柄など分かるもの。
クチコミを100%信じない
過去の合格実績に目が奪われがちだが、わたしが重要視したのは生の声。
実際に通っていた子の親御さんの評判だ。
講師一人で運営しているところが多いので、子どもとの相性も気になるところ。
相性が合わなすぎるとお互いに不幸になるし、子どもが強烈なストレスを抱えてしまう。
勉強はもちろんだが、ちょっとしたボタンのかけ違いが原因で中学生活すべてが嫌なものになってしまうのではないか…そんな風にも思っていたので塾選びは慎重に行っていた。
生の声を重視したがクチコミで注意しないといけないのは、ヨソの子が合う塾が必ずしもわが子に合うとはかぎらない。
やはり実際に塾に行って話を聞いてみるのが一番。
大概の塾は事前説明会、見学・面談なりがある。
事前リサーチではイマイチだったけど会ってみたら好印象だった!なんてこともあるし、もちろんその逆もある。
入塾はその場で決めず、家に持ち帰り子どもの思いをくんであげて決めるのが賢明。
わが家の場合も事前説明会に出席し「ここならばやっていけるだろう」というところに入塾を決めた。
その甲斐もあってか息子は3年間辞めることなく続けられた。
25人いた生徒だが中1の最初から卒業まで在籍していた子はほんの数人。
入れ替わりが激しく、息子と一緒に入塾した仲の良い友達も途中で辞めてしまった。
その後、勉強に嫌気がさしたのか成績が最後まで思うように上がらず親御さんもなげいていた。
息子は塾選びもうまくいき、中学1年生時点での成績も学年の「中の上」ぐらい。
大きな問題もなく過ごしていたが、そこは多感な中学生、一筋縄ではいかない。
親を悩ますことが、たびたびと起こる。
「さぁ、親としてお前ならこんな時どうする?」
神様はそのような試練を幾度となく与えてくださるのだ(苦笑)
心折れた中2の夏
順調に思えた中学校生活だったが、2年生の夏休み前に、ちょっとした出来事が起こってしまう。
いつものように、塾へ迎えに行った帰り道、車中でのことだった。
息子の様子がおかしく元気がない…そう思っていた矢先に突然泣き出し「塾を辞めたい」と言いだした。
状況だけで判断すると、
誰かにいじめられたか?
塾の先生に怒られたか?
そんなことをすぐに連想した。
テストの点数が前回より悪く塾の先生から厳しめのことは言われたが、それが直接の原因ではなかった。
2年生に進級し、勉強も難しくなり成績も下降気味。
成績が上がらなかった原因は今までの勉強量だけではついていけてない。
そして、1年生の時とは違い学校への提出物も多くなっていた。
その他にも塾での授業・テストもある。
やることがいっぱいだ。
さらに息子は部活動の部長に任命されたのだ。
正直、ウチの息子は部長というタイプではない。
おとなしく、みんなを引っ張っていけるような、そんなリーダーシップなど持ち合わせていないように思える。
成績ガタ落ち、部長のプレッシャー、提出物の遅れで先生からのお叱り…そんな不安や我慢、辛さといったマイナスの感情がどんどん積み重なっていたのだ。
「塾を辞めたい」と言い出したときの息子の精神状態はとても不安定な状態。
今にも溢れそうだったコップの水が、塾の先生の厳しい言葉で、一気にこぼれてしまったのだ。
話をもとに戻すと、帰宅して泣き止んだ後も、塾はもう辞めるの一点張り。
塾を辞めたら息子の性格上、家庭学習はできない。ゲーム三昧となってしまうだろう。
そうなったら、さらに転がるように成績は落ちると容易に予想できる。
しかし、このままの精神状態で無理矢理に塾に行かすこともできない…。
わたし自身もどうしたら良いか分からず、塾の先生に相談するため面談をセッテングした。
少し間をあけ面談は1週間後に。
わたしはこの頃、塾を辞めることもやむなしと思っており、辞めるにしても今度はどの塾がいいのかリサーチしなければと思っていた。
2日ほど経ち塾がある当日、今日の授業は休んでもいいと伝えたところ意外な返事が。
「塾は休まない、とりあえず行く」
その返答に安堵したのを覚えている。
塾の先生にもその旨を伝え、面談は無期延期。
ここ数日で息子の心境に何があったのか?
辛かった気持ちをあらわに吐き出し、泣いたことで胸の中のモヤモヤが消え、リセットされたのではないかと推察した。
また、ちょうど夏休みに入るタイミングだったので、それが良い方向に働いたのかもしれない。
時間が経ちいつもの日々に戻ることができた。
高校生になった今もこの出来事を話すことがある。当時なぜあんな感情になったのか?
息子は自分でもよく分からないと言う。
そしてあの時、塾はやめなくて良かった、今の自分があるのも塾のおかげ…とも。
この一件を乗り越えたことで息子はちょっぴりメンタルが強くなり、一皮むけた。
成績は相変わらずイマイチだったけどね…。
一体どうなる…コロナ禍の中3の春
中学3年生に進級した2020年の4月。
その頃は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、新学期早々いきなり学校が休校となった。
結局3月~5月いっぱいは学校に通えずその間は家庭学習。
期間中は学校からペーパーの課題は出ていたが、とてもじゃないが勉強してるとはいえない状況。
ダラダラと毎日を過ごし適当に課題を終わらすだけの「作業」に見えた。
学校が休みの期間、塾の授業はZOOMで行われていたのが親としては数少ない安心材料。
9月を新学期とする案も出ていたくらいなので、この先どーなるのだろう??と不安な毎日だったのを覚えている。
けれども条件は受験生みんな同じだし、こんな時こそ家庭学習をちゃんとできる子が受験を制する。
家庭学習が出来ない息子には、あの手この手を使って家でも勉強するように言い聞かせてはいたがすべて空振り…
ほとんど家では勉強していなかった。
親に勉強しろと言われ気分が良いわけがない。よけいやる気をなくしてしまう、その気持ちは重々わかる。
自分が子どもの頃を思い出せば、それくらい容易にわかるのに親になるとなぜこうも口うるさくなってしまうのだろうか(苦笑)
例年、息子が通っている塾では中3になるタイミングで受験生の親を集め、今後の高校受験に向けての家庭学習の取り組み方や、学習スケジュールをレクチャーする「説明会」を行うが「3密(密閉・密集・密接)」回避のため当然延期となり、説明会は大幅に遅れ6月にZOOMで開催された。
その時に塾の先生から説明してもらった内容で印象に残っているのがいくつかあった。それは今どきの受験問題。
出題問題の傾向
塾の先生から聞いたことをメモし、まとめたのが下記の内容。
都道府県ごとに問題の傾向は違うので全ての地域で当てはまらないがお読みください。
時代の変化によって受験問題も変わっているのだと親も理解していて損はないと思いますので。
読み取り、答える!英語
英語は日本語ではなく、英語で回答する傾向が高くなっている。
私たち(40代)の中学生時代とは違い、テスト問題もかなり変化している。
英文を読んでそれを日本語に訳す、といった問題は皆無で英語で答える問題が増えている。点数を取るには英文を読み取る「読解力」は必須となる。それが出来ないとお話にならないし、読み解く力があってもそれを記す「記述力(文章にして書くこと)」も当然必要になってくる。リスニング問題の配点も高いらしい。英語が苦手だった私は今の時代に中学生だったら終わってたな…。
冷静に判断して問題を解く!数学
面積・体積・長さなどを求める問題などでは、答えにいたるまでの過程を記述させる問題が出題されるようになった。途中の計算などは省略せず、なぜこの答えになったのかを説明しなければならない。
また、難易度の高い文章問題では、文中にまったく関係のない不必要な情報も記載されるようになった。不必要な情報に惑わされることなく必要な情報のみ読み取り答えを導き出さなくてはいけない。ここでもまた読解力が必要となる。いじわるな気もするが、だまされる方が悪いのか…。
考える時間を確保するには?国語
国語はなが〜い文章を読んで理解することからはじまる。ここでも「読解力」が必要。しかし、じっくり読んでいると問題を解く時間がなくなり焦って解ける問題も解けない。それではどうすれば良いか?普段から速く読む訓練が必要だそう。もちろん速く読むことが目的ではなく速く理解するということ。そうすることで解くための時間が確保できる。普段から小説など本を読むのが好きな子は言うまでもなく有利だね。
えっ!?丸暗記じゃダメなの?社会
社会はがんばって丸暗記すれば点数は取れると思いがち。歴史的な出来事とそれが起こった西暦を暗記すれば、そこそこの点数が取れる!と思っていたがそんな甘くはない。誰々が何のためにどの様なことをしたのか?その結果どうなったのか?を明確に答えなければならない。なので歴史的出来事をちゃんと理解していなければ点数は取れない。
余談だが社会の教科書を見てみると、後半に掲載されている内容がつい最近の社会情勢じゃないか!自分がいかに歳を取ったのかここでも感じる…。
ちゃんと理解してる?理科
理科も社会同様に適当に暗記するだけでは点数は取れない。どうして?なぜ?こうなったのかと自分で疑問を持って、掘り下げて理解しようと思いながら学習しないといけない。答えが「覚えているか」ではなく「理解しているか」という問題の出し方であるという。「なぜそうなるか」を理解していないと正解できないということだ。
眠ったまま 中3の夏
やる気スイッチが、なかなか入らない。
中学3年生になってからの勉強の進め方は、春から夏にかけて1年・2年で習った基礎をしっかりやる。
それには理由があった。
夏休みに入ると、塾では毎日「夏期特別授業」と銘打ちいつもより長い時間、授業が行われる。
その時までに基礎は完璧にしとけよ!そんな感じだ。
夏休みの終盤には1泊二日ではあるが「夏期合宿」も行われた。
自宅では勉強ゼロの息子なので「夏期特別授業」は大いに学力アップとなっただろう。(…と思いたかった)
受験生にとって夏休みの過ごし方はとても大事だ、わたしのようなズブの素人でもわかる。
しかし、当時2020年の夏に限っては例年とは違う。それは新型コロナウイルスによって社会生活は大いに乱れていたのだ。
春先から学校閉鎖に伴い、授業は例年より大幅に遅れていた。
授業時間確保のため夏休みを短くし授業時間を補うことになっていた。
受験生は今後どういう風に学習に取り組んでいけばいいのだろうか?
実に心配だったのを覚えている。
親の心配をよそに、のんびり屋の息子は受験生としての自覚がまったくないのだ。
快適な空間で勉強できるように、息子の部屋にはエアコンを取りつけた。
しかし親の意図とは違う、ゲーム・動画三昧の快適空間へと化していた…。
受験生として危機感を持って、この夏は机に向かって欲しく、さとすように言い聞かせていたがダメだった。
百獣の王ライオンは、わが子を谷に落とし這い上がってきた子どものみを育てるという。
中学最後の夏、血眼になり這い上がってきてみろ!さぁ!来い!
そんな親の勝手な意気込みで夏を迎えたが、何事もなく虚しく夏休みは終わった。
夏が終わっても、眠れる獅子は依然眠ったままだった…。
併願高決定 中3の秋〜冬
定期テストの前に少しだけ多めにやる勉強法では基礎学力が備わらない。
小学生のころから家庭でも学習するクセをつけるのが理想。
偏差値の高い高校に入学できて、入学してからも成績上位にランクしている子は、やる気と、それを行動にうつせる意志の強い子だ。
息子の一番仲の良い友達が文集に書いていた言葉
「将来のために今、頑張る!」
…息子にはそのような思考がない、悲しいことにまったくね。
時間は刻々と過ぎ去り、いよいよ私立の志望校を決めなければいけない時期になっていた。
うちの息子の目標はあくまでも公立高校への進学。私立は公立高校がダメだった時の併願高という位置付け。
夏頃から塾の先生とは月1ペースで面談をしていて、中学校での定期テストの点数・提出物・生活態度などを考慮すると希望している私立高校には、推薦で合格がもらえるだろうと言われた。
それならばと、中学校に推薦入試の希望を伝えた。
担任の教師からも大丈夫だと言われてはいたが、実際に学校から推薦状をいただくまでは安心できない。
12月半ばの夕方、年末の立て込んだ仕事をしているとわたしのスマホが鳴った。
目をやると「〇〇中学校」の表記が。
とうとう来たっ!
瞬時に推薦のこととさとり、すぐに電話にでるとクラス担任の女性教師からだった。
「手続きいただいていた□□高校の推薦の件ですが…」
あまりのトーンの低い声に
“もしかしてダメだったの?”
とビクビクしながら話を聞き進めると…結果は推薦OK!
あくまで中学校から推薦が出たというだけで、私立高校に合格したわけではない。
気をゆるめないため、神妙な面持ちで話をしたのでトーンが低かったのであろう。
心配はしたが無事に中学校から推薦OKがいただけた。
あとはがんばって推薦入試に挑むのみ!
ドタバタの私立受験
息子が受ける私立高校の推薦入試は面接のみ。ペーパーの試験はない。
私立の受験日は年が明けてすぐの1月上旬。
そのため、放課後の他に冬休みも登校し面接の練習は数多く行われた。
担任の先生からは「練習をこなすにつれ、受け答えがそつなくできている」とのお褒めの言葉もいただいていた。
よほどのことがない限り大丈夫だと思われていたが、寒い冬、ましてやコロナ禍での受験だ。
体調を崩したら元も子もない。
学校や塾から帰宅すると手洗い・うがいを徹底させ、部屋には空気清浄機を導入した。
私立受験の数日前から雪が降り、そこそこの積雪。予報を見ると入試当日はなんと大雪!
なんてこったい!よりによってこんな大事な日に試練を与えるのか、受験の神様よ!
私立高受験前夜に起きた親子げんか
いよいよ推薦入試が明日に迫った前日のこと。本人は相変わらずお気楽なもので夕方になっても準備はまったくしていない。
夜になってようやく準備をしてお風呂に入り終え、寝る前にもう一度最後の持ち物チェックをさせた。
服装やマスクなど身に着けるものも問題なし、あとは寝るだけ…と思いきや息子の何気ない一言に自体は風雲急を告げる…。
「そういえば、先生が靴下は白が好ましいって言ってたような〜」
通っている中学の規則では靴下は白か黒。息子は黒派で白は一足も持っていない。家中探しても白い靴下は出てこない。
「だからぁ、早めに準備しろと言ったやろが〜〜!!」
息子の性格はのんびり屋、わたしの性格はその真逆。
「こんな時ぐらいどうにかならんかその性格!自分自身のことなのに楽観的すぎる!」
親子げんか勃発!試験前日なのに衝突するなんて、なんともお粗末な親子だろうか。
言った言わないの争いが起き、息子は逆ギレして部屋に退散。
ホワイトソックス
さて、どうしたものか…
時刻はすでに23:00を回っていた。
田舎町の23:00はコンビニぐらいしか営業していない。コンビニにも果たして白ソックスは売っているのだろうか??
わたしが昔履いていたものがないかと、実家の母に電話し探してもらったが、「ない」とのこと。
コンビニに走ろうかと思ったそのとき、母から一筋の光が…
「白い靴下…たしかウエルシアに売ってたような…?」
「ウエルシア」とはご存知の通りドラッグストア。
我が家から車で5分ほどの距離にある。
しかし時刻は23:30を過ぎている。
万事休すか?
慌ててスマホで検索し営業時間を確認すると
営業終了時間 24:00!
うおぉぉ!まだやってるーーーー!
ゆっくり慌てて
外は雪がちらつく真冬の1月。
雪道の運転は危険で何が起こるか分からない。
一人より二人で行ったほうがいいだろうと、妻をミニバンの後ろの席に乗せて、慌てて車を出す。
道中、路面は降り積もった雪が凍り、アスファルトは見えていない。
こんな時、慌ててスピードを出すとブレーキをかけたときにスリップを誘発。
あせる気持ちとアクセルを押さえながら、ゆっくり慌てて運転する。
ようやくウエルシアが見えてきた。
外観には明かりが灯っている。
「よかった!営業している!」
到着した時刻は23:45
妻が店内に入り白い靴下を買い求める。
わたしは車の中で待つ。
果たして白い靴下はあるのだろうか…。
早々に妻が店から出てくる。
右手には白いレジ袋。
その中にはもちろん白い靴下!
無事購入!!
うおぉぉぉ!ウエルシア様様〜!!
その瞬間だけは間違いなく、夫婦の絆が深まった。
帰宅すると息子はスースーと寝息を立ててご就寝。
ホント、こいつって奴は…。
ゲンコツの一発も食らわしたい気分だったが、その気持ちにフタをし、気持ちを切り替え、わたしも眠りについた。
併願高受験当日
併願高の受験当日、早めにセットしたスマホのアラームが鳴る。
慌ててカーテンを開けて外を見た。
「大雪やん…。」
予報通りの積雪。
空を見上げると太陽の姿など、もちろん見えず、雪雲に覆われ暗い。
その暗さがさらに気分をよどませる…。
除雪車はまだ通っていない。
集合時間に遅れないよう早めに家を出て、中学校まで息子を送り届けるのが本日のミッションだ。
妻は息子をたたき起こし、朝食をとらせる。
その間にわたしは雪かきを開始。
小さい頃から雪国に住んでいるので「ママさんダンプ」でせっせと雪をどかすのも手慣れたものだ。
新雪なので、あまり力は必要としない。
1時間後には、なんとか車を出せるぐらいにまで除雪完了。
妻との連携プレーで、時間通りに中学校まで送り届けることに成功!
その後は中学校から先生2人が生徒30人ほど引率し、バスで高校まで送り届けていただいた。
大雪だったが予定通り午前中で面接は無事終了した。
帰宅して息子から聞いた話だと、面接までの時間は教室で待機。
コロナ禍ということもあり、真冬にもかかわらず換気のため窓は開けてある。
運悪く息子は窓側の席で、吹雪が窓から入ってきて、凍るように寒かったという。
数日後、郵送で合格通知が届き、とりあえず第一関門は突破!
ドタバタの私立受験だったが、なんとか無事に合格することができた。
志望校決定
中学での勉強の総決算。
いよいよ本番の公立高校入試が迫ってきた。
それなのに模試の成績は芳しくない。
その結果を踏まえ志望校を決定しなければいけなくなった。
息子の希望は大学進学なので、普通高校の進学校を選択。
家から無理なく通える高校は以下の高校。
- S高校…偏差値66/地元では言わずと知れた進学校の名門。全校生徒が国立大学を目指す。
- A高校…偏差値57/自由な校風が人気の進学校。ほぼ全員が大学へ進学する。
- B高校…偏差値51/学内で上位は国立大学・有名私大へ。ほぼ全員が大学へ進学するが一部は短大・専門学校への進学も。
- C高校…偏差値50/進学は大学から専門学校まで幅広く、地元企業への就職も可能な学校。
中学入学当初から、あくまでは目標は大きく!とS高校を目標にしていた。
しかし、息子の勉強への取り組みを見ていて疑問を感じていたのが本音。
中学校に提出していた進路希望の高校名には中学3の夏頃までは「S高校」と書いていた。
本気でS高校に合格したいのならば自分はどのくらい勉強すれば良いのか。
塾の先生からはこう言われていた。
「寝る時間以外は勉強しなくちゃ、S高校合格は無理だぞ?」
しかし勉強するのは塾と学校だけで家では完全OFFを貫いた。
いつか本気を出してやってくれるものだと、希望的観測をしていたがとうとう叶わなかった。
“S高校を目指すって言ってれば、あなたたち親はそれで満足なんでしょ?”
結果的に本気で目指してはおらず、口だけの目標だったようだ。
最終的に息子が決めた学校は「B高校」
決めた理由は、秋に中学校校内で行われた学校紹介で何か感じるものがあったらしいが、本当の理由は家から一番近いっていうのが大きいのかも…。
あっさり終わった高校受験…
倍率が発表された。
S高校…1.2
A高校…1.1
C高校…1.1
そして息子が受けるB高校は
0.9
なんという低倍率、つーか、定員割れやん!?(ちなみに昨年は1.1倍だった。)
さらに、わたしは愕然とした。
ほかの学校の倍率を見ても、ほとんどが1倍に届いていないではないか。
地方の公立高校が直面する大きな問題、それは軒並み定員割れだということ。
その問題を当事者として目の当たりにしたのだった。
公立高校の店員割れの傾向は、わたしたちの住む地域だけでなく全国的なもの。
定員割れだと入学しやすいが、教育の質が低下する。
実は息子が受験するB高校も、昔は偏差値60以上ある名門進学校だった。
しかし、少子化の影響でだんだん下降し今の位置に。
クラスの数も一番多い時と比べると半分にまで減っている。
受け皿を一気に減らすことができない上、子どもの数が減っているのでこのような倍率になるのは当然だ。
もちろん、この状態がいいわけではないので、各学校特色を出し魅力ある学校にしようと努力しているが、それで解決できるような簡単な問題ではない。
3月某日、公立高校受験は5科目を二日に分けて行われ、何ごともなく無事受験を終えた。
結果は合格!
晴れて息子はB高校にすることができた。
わたしたち親子の高校受験はこうして終えたのだった。
中学校生活、親がしてあげることは
この記事の冒頭に記してある
「子どもの高校受験、親ができることって何だろう?」
中学3年間が過ぎ去った今、何ができたのか改めて振り返ってみる。
今と昔と様変わりしている勉強スタイル。
分からないことは塾の先生にLINEで聞くのも良いし、YouTubeでは勉強のやり方に関する動画もあふれている。
そういったものを最大限駆使して学習に活かして欲しかった。
(現実はYouTubeで見るのはゲーム動画やエンタメ系のものばかりだ…。)
色々と書いてきたが本人のやる気がすべて。それはよーーく分かっている。
「勉強のやり過ぎ」は後に笑い話になるが「やらない」は後悔するだけ。
わたしは子どもの頃に、もっともっと勉強しておけばよかったと、大人になってつくづく思う。
子どもにはそんな後悔はさせたくないから、知らず知らずのうちにお決まりのフレーズを連呼していた。
「勉強しなさい」
親が良かれと思って言い聞かせていることは親のエゴであり、子どもを苦しめていただろう。
わたし自身の勝手な「こうした方が良い」の思いを単に息子に押し付けていただけ。
あーだ、こーだと口うるさく言うのは、そのほうが親にとって楽だから。
黙って見守ってやることの方がしんどい。
子どもの身になり、息子の気持ちを理解してやることが、わたしには欠けていたのかも。
「将来のため今のうちに勉強しないと後悔するよ」
子どもはこの程度のことを言われてもピンとこないし、イメージなど湧くはずもない。
自分が中学生の時どんなことを言われれば、自ら勉強しただろうか。
それができていれば息子にとって「勉強する」ことは、また違ったものになっていたのではないだろうか?
中学生なんてまだまだ「子ども」、親のわたしがしっかりとアドバイスし指針になると意気込んでいたものの、未熟なのはわたしだったのかもしれない…。