わたしの職業はグラフィックデザイナーです。
グラフィックデザイナーと聞いて、あなたはどんなイメージを持つでしょうか。
例えば大手企業をクライアントに持ち、大きなプロジェクトを行い、著名人の知り合いがいたり、テレビドラマの題材になるような、そんなキラキラ輝いてるそんなイメージ?
デザイナーってなんとなく華やかでステキなイメージですよね。
…しかし、わたしはその手のデザイナーさんではなく、主に生活に身近なものをデザインしている、言うなれば “庶民派グラフィックデザイナー” ってところです。
この記事はそんなわたしが「グラフィックデザイナー」についてアレコレ語ります。
この記事はこんな人に読んでほしい
★グラフィックデザイナーを目指している人
★「うちの子は絵が上手だし将来はデザイナーもいいかも?」と思っている親御さん
★デザイナーのたまごさん
デザイナーって何ぞや?
ひとくくりに「デザイナー」といっても様々です、まずはジャンルに分けてヒモ解いていきましょう。
〇〇デザイナーと呼ばれる職業をいくつかあげてみます。
■ファッションデザイナー
服飾やくつ・バッグなどファッション関連のお仕事
■建築デザイナー
住宅、オフィスビルなどを建築設計
■インテリアデザイナー
室内空間を照明や家具・雑貨などで演出
■WEBデザイナー
企業やお店のホームページ、コンテンツをつくる
■フラワーデザイナー
お花でイベント会場や結婚式場を華やかに演出
■プロダクトデザイナー
家具や食器の生活用品、または車などの工業製品をつくる
他にも「〇〇デザイナー」というお仕事は、まだまだありますが「デザイナー」とは
“何かを創造するお仕事”なのが分かりますね。
さてさて本題のグラフィックデザイナーとは具体的にどんなお仕事をする人なのでしょうか?
グラフィックデザイナーとは…
さまざまな分野の広告物、出版物(印刷物)をデザインする人です!
わたしが今までに、やらせていただいたものは例を挙げますとこんなものです
●チラシ
●リーフレット
●ポスター
●パンフレット
●名刺
●封筒
●DMハガキ
●ロゴマーク
●パッケージ
●新聞掲載広告
●WEBサイト素材制作
●広報誌
などなど、あくまでも上記のものは一例で、その他にも色々なものをデザインさせていただきました。
一例を見てみると、毎日の私たちの暮らしに密接しているものが、たくさんありますよね。
イコール、たくさんの人が目にするものをデザインしています。
わたしがこの仕事に魅力を感じたのは、自分の手掛けたものが、たくさんの人に見てもらえるということ(使ってもらえること)。
喜びも感じますが、恥ずかしいものは世に出せないというプレッシャーもつねに抱えています。
常にデザイナー目線でいよう!
グラフィックデザイナーになるには、大学のデザイン学科やデザイン専門学校で必要な知識を学ぶのが王道です。
デッサン・色彩・タイポグラフィーなどデザイナーに必要な基礎を身につけながら、数々の課題をこなしスキルアップしていきます。
それとグラフィックデザイナーに欠かせないのが「Illustrator」と「Photoshop」。
野球選手でいうなればバットとグローブのような大切な商売道具です。
「Illustrator」と「Photoshop」はデザインの幅を広げる魔法の道具のようなもの。
この二つを使いこなせないと仕事にならないと言ってもよいでしょう。
ご存知ではない方のために簡単に紹介しますと「Illustrator」と「Photoshop」はAdobe社から提供されているグラフィックソフト。
この2つはグラフィックデザイナーにとって必須ツールなのは間違いありません。
最初は思うように使いこなせないかもしれませんが、徐々に慣れますので心配はありません。
ここで言いたいのは「Illustrator」と「Photoshop」はあくまでもはデザインする上での手段ということ。
デザインする上での基礎(配色や文字の大きさレイアウトなどなど)ができていなければ宝の持ち腐れ。
グラフィックデザイナーになりたい人は「Illustrator」と「Photoshop」のテクニックをみがく前に大事なことがあります。
学校での専門授業をしっかり受けるのはもちろんですが、その他に普段の生活の中で、常に “デザイナー目線” であるべきです。
例えば…
ふらりと入店した雑貨店、なんとなく目に付いた商品。
「あ!このパッケージ可愛い♪」
思わず手に取り、衝動買いしちゃった!満足満足♪
…一般の人ならこれで良いのですが、デザイナーを目指しているのならば、心を動かされたとき疑問の念を持つべきです
「なぜ、どうして?私はこの商品に惹かれたのだろう?(可愛いと思ったのだろう?)」
「商品名の書体がナチュラルな手描き文字だから?」
「ゆるいキャラクターを前面に出しているから?」
「淡いパステル調の色のせい?」
「違う色にしたらどうだろう?」
…などと、自分なりに分析し答えを見つけましょう。
考えるクセをつけておけば次第に良いデザインとはどんなものなのか理解できてくるはずです。
今後、自分でデザインするうえでのアイデアにもなるし、ネタのストックにもなりますよ。
多くのデザイナーさんは日常の中でも常にデザインのアンテナを立てています。
例えばボーーっとテレビを見ていても…
「今のテロップの書体は何だろう」とか
「あの番組ロゴデザインステキだな」とか
「この配色イイね!」などと、知らず知らずのうちにアンテナが反応しちゃってます。
わたしたちの生活空間には広告があふれています。
- お店の店頭に貼られているポスター
- 駅構内で見かける巨大な液晶ディスプレイ
- 電車の中の吊り革広告
- 新聞・雑誌の掲載広告
- スマホを見ていると飛び込んでくるweb広告
…あげるとキリがないくらい街中やwebの世界でたくさんあふれているのです。
そんな景色もデザイナー目線で見ると、今まで見えなかったものが見えてきます。
意識していなかった人は、さっそく自分の身の周りをデザイナー目線で見てみましょう!
イケてる奴にビビるな!
グラフィックデザイナーを目指し意気込んでデザイン学校に入学!
しかし、まずビビってしまうのが“イケてる奴”の存在です。
“イケてる奴”とはデザイン力がとび抜けて高く、身につけている物やヘアースタイルもオシャレで、とにかくセンスの塊みたいなうらやましい奴のこと。
「自分なんて絵もヘタっぴでセンスもイマイチ、着ている服も母ちゃんが買ってきた服だし…」
…そんな風に劣等感を感じる人。
ご安心を!
最初はデザインに対して無知でも、絵が上手じゃなくても大丈夫!
ましてや、見た目などは最低限、不潔でなければ問題ありません。
20年以上デザインに携わってきた、わたしはイラストも描けないし(後に説明してます)、今でもIllustratorを完璧に使いこなしていません。
最初は誰もが未熟です。
大事なのは取り組む姿勢です「デザインするのが好き」という気持ちさえあれば、おのずとデザインに関する知識を吸収しようとするはずです。
中学・高校時代は好きでもない教科の勉強を嫌々した人がほどんどです。
しかしデザイン学校に進学した人は少なくとも「デザインが好きな人」です。
好きなことは自然と興味を持ち、学ぼうとするはず。
「もっとセンスよくなりたい」
「素敵なデザインを自分で作り出したい」
そんな気持ちを貪欲に待ち続ければそれでOK。
プロ野球で例えると(例えがオッサンですな…)将来有望なドラフト1位の選手が必ず活躍するとは限りません。
下位指名の選手が貪欲に練習し一流のプレイヤーの座をつかみ取る場合もあります。
それと一緒です。最初はダメダメでもいいんです。
しかし、一方で好きなものを仕事にしない方が良いという人もいます。
それは仕事となると理想と現実とのギャップにより、好きなものでも、嫌いになってしまうということ。
「好き」だけではやっていけないということです。
わたしの周りでもそんな方がいましたし、実はわたしも一度デザイナーを辞めて、全くの違う業種の仕事につきました。
しかし、恥ずかしながらその仕事を3日で辞めました。(まさに三日坊主です)
違う職種について気づいたのが
「好きなことを仕事にできるなんて最高だった」
一度まったく違う景色を見ることで、はっきりと結論がでたのです。よほどのことがない限りわたしはこの仕事を続けたいと。
グラフィックデザイナーの仕事は時には激務で、心身共にダメージを受けることもあります。
若かりしころは、何度も何度もやり直しをすることなんて当たり前(自分の実力が足りないだけなのだが…)しかし、わたしが今でもこの仕事をしているのは、根底にある「デザインをするのが好き」ということです。
デザイナーは「イラストレーター」ではない
よく勘違いされますがグラフィックデザイナーはイラストが上手に描けると思われています。
イラストを本業にされている方は「イラストレーター」であって「デザイナー」ではありません。
もちろん素敵なイラストが描けるデザイナーさんも沢山いて、イラストレーターを兼務している方も少なくありません。
わたし自身はイラストは描けません…。というかお金をいただけるようなイラストは描けないということ。
デッサンも狂ってるし、それらしく描けたとしても描くことに長時間かかってしまうでしょう。残念ですが画力は中学生ぐらいで止まっています…。
小学生の頃は絵(イラスト)を描くのが好きで、様々なキャラクターを自由帳に描いてクラスの中では、ちょっとした人気者でした。
しかし、思春期から大人になるにつれ、興味を持つものも移り変わり、マンガは読む専門になり描かなくなりました。
子どもの頃からずっとマンガのキャラクターなどを模写し、趣味でイラストを描き続けていたら今の仕事に活かせる画力があったのでは…と後悔しています。
イラストは描けないより描ける方が断然良いですが、描けなくてもグラフィックデザイナーにはなれますよ。
デザイナーは「アーティスト」ではない!
デザイン学校を卒業すると、デザイン事務所や印刷会社などに就職しデザイナーとして最初の一歩をスタートします。
最初は修行の身なので、すぐに仕事をまかせてもらえないでしょう。
どんな仕事でもそうですがあせらず少しづつ力をつけていけば良いじゃありませんか。
美しい文字組みや、バランスがとれたレイアウトなど、基本をキッチリできるようになる!
小さな仕事でも全力で取り組み、疑問に思ったことは先輩方に質問しましょう。(「そんなこと自分で考えろ!」と言われることもありますが…)
仕事をやる上で忘れていけないのはデザイナーは「アーティスト」ではないということです。
自分の作品を制作するのではありません。
あくまで依頼主の要望に応えるものを作ること。
例え、お洒落でステキなパッケージをデザインしても、それが依頼主の意図をくんでいないものなら、先方からOKの返事はもらえないでしょう。
依頼主の目的をちゃんと理解し、どんなデザインが適しているのか考え、デザインしなければいけません。
しかし、依頼主が満足したデザインを生み出してもエンドユーザーに何も響かず良い結果がでない場合もあります。
それは完璧な仕事をこなしたとはいえません。依頼主・デザイナー共に満足したものを制作し、最終目的を達成しなければいけないのです。(多くの目的とは依頼者に利益をもたらすということ)
間違いなく、やりがいのある仕事
わたしはこの仕事には誇りを持っていますし、いただいたお仕事は全力で取り組んでいます。(当たり前ですが)
ベテランと言ってもよい歳になりましたが、毎年キャリアハイの仕事をしたいし、まだまだ成長したい。貪欲に仕事に向きあっています。
デザイナーといっても全ての人が華やかな世界にいる人ではないということ、むしろわたしみたいなデザイナーの方がはるかに多いのです。
街に貼られているポスター、
観光ガイドを見ながら歩いている観光客、
お店のロゴマーク…
自分のデザインしたものが街角で見かけると、ちゃんと社会のお役に立っているんだと実感できます。
いくつになっても褒められるとうれしいもので、とくに女性に褒められるとサイコーです(笑)
是非とも興味のある方はグラフィックデザイナーを目指してはいかがでしょうか。